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日本のアニメ・コスプレ、中国で人気 年間100作を無料配信

2014年12月28日15:14 (ソース:どうしんウェブ)

【北京鈴木徹】中国で、日本のアニメ人気が着実に広がっている。作品はほぼ全てインターネットで配信され、1千万人以上が視聴する人気作も増えてきた。全国各地で開かれるイベントに集まる熱心なファンの大半は、アニメを通じて日本文化に親しみを抱く若者たち。昨今の冷え切った外交関係からはうかがい知れない、明るい日中友好が広がっていた。

12月上旬、北京で開かれたアニメ、漫画、ゲームのイベント「マイコミック園遊会」会場。「きゃーかわいい」「写真撮らせて」。アニメの登場人物に扮(ふん)したコスプレイヤー(レイヤー)に人だかりができた。

ポーズを決めるレイヤーに、撮り終えたファンはお礼を言い、深々と頭を下げる。中国では見慣れない光景だ。主催したイベント会社・北京MYCの峰岸宏行海外事業部長(33)は「日本の習慣がこの数年で定着した」という。アニメ文化が日本の礼儀作法まで広めたわけだ。

北京ではこうしたイベントが月1回のペースで開かれており、この日は10、20歳代を中心に1万2千人が来場。アニメの衣装を披露し合い、関連グッズを買い求め、日本人声優らのステージショーに歓喜した。ネットで広がるアニメ人気には地域差が少なく、地方都市でも小規模のイベントが頻繁に開かれている。

中国における日本アニメの歴史は1980年、全国放送された「鉄腕アトム」で幕を開けた。乱立した地方テレビ局が番組不足を補うために放送した「花の子ルンルン」や「一休さん」が予想外の人気を集め、90年代は「美少女戦士セーラームーン」「名探偵コナン」など放送した作品が、ことごとくヒットした。

2000年以降、日本文化の流入に神経をとがらせた中国当局が規制を強め、テレビ放送は激減した。しかし海賊版CDの形で水面下で受け継がれ、ネットの普及で一気に盛り返した。日本の制作会社を悩ませてきた海賊版も、配信権を買って広告収入で運営する事業者が定着したため、ここ1、2年で着実に減った。

現在は、日本で放送される年間100以上の作品のほぼ全てが、字幕付きで日本と同時刻に無料配信される。少女キャラクターが登場する「萌(も)え系」から、残酷な描写の「ホラー系」まで幅広く、各回の視聴者数が2千万人を超えた「進撃の巨人」など、超ヒット作も登場するようになった。

こうした状況を習近平国家主席ら指導部はどう考えているのか。中国当局は最近、来年からネット上の検閲を強め、外国ドラマの配信を許可制とする方針を明らかにした。共産党機関紙の人民日報は9日の文化面で「(アニメの影響で)最近の少年たちは日本の江戸時代には詳しいが、中国の伝統文化を知らない」と嘆いた。
<どうしん電子版に全文掲載>